野良犬。故郷に帰る。

煮え湯を飲まされ、辛酸を舐め、砂を噛むような思いをしても、故郷に帰る夢は諦めない。

その日 何が起きていたのか 1

私の人生を決定づけた

1980年 3月24日。

私と姉の伺い知らぬ所で

何が起きていたのか?

 

私自身が、この日の全容を

ほぼ知り得たのは

中学生になった頃だろうか。

 

家族や親類から、

「あの時は...。」と話される

まるでモザイクタイルの一枚のような

断片的な情報を

一つ一つ貼り合わせながら

壁一面にモザイクタイルを貼って行く。

そんな作業だった。

 

発端は前日、3月23日 日曜日。

同居していた父の姉が早朝から

「墓参りに行ってくる」と

母に伝えて家を出たまま

戻らなかった事から始まる。

 

父が経営する会社の経理を全て

任されていた父の姉が...。