野良犬。故郷に帰る。

煮え湯を飲まされ、辛酸を舐め、砂を噛むような思いをしても、故郷に帰る夢は諦めない。

2019-06-13から1日間の記事一覧

その日 何が起きていたのか 4

父は自宅に向かって走っていた。間も無く本格的な春が訪れようとしている1980年3月24日。父の目には景色が陽炎のように歪んで見えた。息も切れ切れに自宅に辿り着くと自宅2階にあった事務所に入る。2階までの階段ですらもどかしい。事務所の無機質に白い壁が…